港区議会議員 一票の会代表 秋元ゆきひさのWEBサイトは、JavaScript対応ブラウザで表示して下さい。 区議会レポート冬号 Vol.19 2000年2月21日発行

港区の2000年区長選挙(6月)

 今年の6月には区長選が行なわれます。前々回H4年、実施の区長選挙は立候補者3名投票率33.67%でした。前回のH8年、実施の選挙では立候補者2名、投票率27.69%で現職の区長が選ばれています。
 一番身近な自治体の長を選ぶ選挙が区議会議員の選挙より(H11.4投票率42.01%)関心も低くしたがって投票率も低いのは残念です。
 H12年は「地方分権一括法案」あるいは「都区制度改革」などによって国と都と地方自治の関係が大きく変ろうとしています。
 都から区への清掃事業移管を背景にした権限の委譲に伴う財源の配分についても都区間では激しい交渉が行なわれていました。
 新聞等の報道にもあったように従来の調整3税(区民税法人分・固定資産税・土地保有税:注1)の配分率、都56%、区44%の大幅な配分率の変更を区は都に求めた結果、都48%、区52%と区側にとって8ポイントアップとなりました。
 しかし、当初54.5%、10.5ポイントアップを求めていた区側は、介護保険導入及び老人福祉手当など都の福祉施設の見直しにより浮いた財源は区独自の福祉施設の財源に充当されるべきだと主張していましたが今後の都区間協議にゆだねられることになります。
 区は都市計画事業に対して交付される都市計画交付金についても大幅な増額を求めていた結果、都市計画交付金45億円程度(総額130億円)の上積み、一部の清掃事業を前倒しで区へ移管する経費の名目で23区に各1億円づつ追加交付するなどが決まりました。
 権限に伴う財源が適正に配分されてこそ基礎的自治体としての一人前の姿だと思います。
 都も区も予算がタイトな今こそ、その使われ方が真に問われる時ではないでしょうか、本当に必要とされるところに予算と人を配置し無駄を排除し効率的な行政サービスをめざすことが真に求められています。


区民参加の区民区政への転換

 そのためにも区長のリーダーシップと議会の活性化そして区民参加のシステム作りが求められています。
同時に何よりも彼らを動かすのは区民一人ひとりの地域への関心度で決まります。具体的には区民の方々の声を直接役所に議会に届けるということです。
 どんな意見でも、批判でも結構です。違う意見だからこそ、批判だからこそ、そこに議論がおこりエネルギーが生じその結果何かが生まれる可能性を拡大させ選択枝を増し、より広範な民意に添った多様な区民サービスが可能になると思われます。
そしてどこよりも私達の税金の使われ方を知り勉強するには身近な区役所からが一番学習しやすいのではないでしょうか。
 バーゲンや値引きで買ったものでもクレームを、特に食品であればなおさらですがなぜか区民一人あたり平均25万円も支出している税の行処に対しては多くの人が無関心というのは行政側、議会側にも充分な説明責任を果たしていないという第一義的な責任はありますが、知る権利を行使しない区民側にもその責任と義務を回避しているようにも思われます。
 しかし私達は税金に対する自立した個人の意見、主張が時代を動かすことになると気付き始めています。


役所まかせの役人区制から区民主導の区民区政へ

 国や都を変えていく大きなムーブメントは住民一人ひとりの問題意識(素朴な提言)から変化が起きるものと確信しています。
 いまや地方自治体は国や都そして自分たちの街を変えていく重要なかなめとなっているのです。
 身近なところから、手の届くとこらから変化を起しやすいという事実です。
 したがって区政に於いても今年6月の区長選挙は役所主導の役人区政から区民参加の区民区政に変える大きなチャンスの時です。


守られない候補者の公約より区民からの政策提言

 住民参加による私たちの望む予算配分による新しい区政運営の姿が望まれています。選挙時に於ける一つの方法として従来の選挙のように候補者の公約(ほとんどが守られない)を聞いて決めるのではなく私達の側から政策提言をしてその実行を約束してくれる人(内容、時限的なものを含め100%ではないにしても)に投票する、すなわち「区民契約」を行なえる人を選ぶという、第一に選挙を区民主体、区民主導のものとする、第二に公約及び区民契約の実行を選挙後も注視しその成果をチェックしていくという区民全員が区政オンブズマン的役割をになって常に区政から目を離さないということが重要だと考えています。
 政策提言は難しく考えなくても良いのではないでしょうか、身近かな事でも何でも良いと思います。学校のこと、商売のこと、地域、街づくりのこと、老後のこと、一人一つでも大変な数になります。
 どれも候補者の耳ざわりの良い公約より遥かに切実で内容が充実しかつ緊急性のある提言となるのではないでしょうか。
(注1)H10年度調整3税総額
固定資産税1兆941億、区民税法人分4,936億9,000万円、特別土地保有税53億



第三セクターみなと都市整備公社「麻布十番公共駐車場」

昨年6月にオープンした麻布十番公共駐車場については幾度か区議会レポートでお知らせしてきましたが昨年の11月定例議会と同時に開かれた決算委員会では3会派を除く4会派から問題提起がなされいずれも民間への売却、破綻処理のための検討委員会設置などが提案要求されました。


平均稼働率約2%

 区は当初より稼働率15%、35年で黒字目標などと言っていましたが、麻布十番祭りの前後3日間のみ、やっと10%〜11%となった以外2%台の日々が続いています。
毎日麻布十番祭りという訳にはいきません。



毎年増え続ける赤字額

 したがって年間の売上げ予測は1億3千万円に対して経費(維持管理運営費、内人件費約5,943万円)と銀行返済は今年度3億6千万円となりさらに2010年度には9億3千700万円にもなります。
区は銀行に対して利子も含め86億9千300万円の損失補償契約を交しています。



損失補償は私達の税金から

 契約書によると「3ヵ月過ぎても公社から支払いがなければ区がその債務を履行する」というものです。
私達の税金がその穴埋めに投入されるのは明らかです。



早急に抜本的処理案を
 私も区に対しては早急に5月の株主総会に向けて抜本的な処理案を作成するためにも処理検討委員会を設置することを要求しています。

「第3セクターに関する指針」

 昨年5月20日に自治省から「第3セクターに関する指針について」という通知がだされました。
 内容は大きく4項目に分かれております。
(1)3セクの形態、設立にあたっての留意事項

(2)公的支援のあり方、議会への説明、情報の開示

(3)運営の指導監督等に当たっての留意事項(経営の定期的な点検評価・経営の予備的診断・議会や住民への情報開示等)

(4)経営悪化時の対応に当たっての留意事項等です。

 尚(2)の中では地方公共団体の長等が第3セクターの経営に役員として参加する場合、役員としての責任を追求される場合があること。
(4)においては、経営のために点検評価を行なうための委員会の設置、さらに経営悪化が深刻かつ将来の経営改善の可能性がない場合右委員会の検討をふまえて問題を先送りせず早急に対処方策を検討するべき旨書かれています。
 まさに麻布十番公共駐車場を経営する指針の「一般的留意事項」を掲載しました。
(全文ご希望の方は、ご連絡いただければお送りします。)


●一般的留意事項
 (1)〜(5)
(1)この指針において、第3セクターとは、地方公共団体は出資・出損を行っている商法法人及び民法法人をいう。
(2)バブル崩壊後経済環境が変化する中、一部の第3セクターにあっては赤字の累積等により経営が深刻化しているものがみられること等にかんがみ、地方公共団体は、第3セクターの経営状況の点検評価を行うとともに、積極的に運営の改善を促し、設立団体の財政運営に影響が及ぶことのないよう指導監督等に努める必要があること。
(3)国・地方を通じた行財政改革への取組が要請されている今、第3セクターにおいても、役職員の数及び給与の見直し、組織機構のスリム化等を行うとともに、類似業務を行うもの、既に目的を達成したと思われるもの、事業の存続が困難と思われるものなどの統廃合等を積極的に進める必要があること。
(4)金融機関を取り巻く環境の変化等を反映して、金融機関は保有する債権のリスクについて厳格な自己査定が行われることとなること等を踏まえ、第3セクターに対する地方公共団体の信用の付与や支援のあり方についての見直しが必要となっていること。
(5)地方分権の推進により、地方公共団体の自己決定権が拡大されることに対して、地方行政の公正を確保し、その透明性を高めることがこれまで以上に重要となっていることにかんがみ、また、事業内容について住民からフィードバックを期待するという観点も踏まえ、第3セクターの事業や公的関与の内容について積極的な情報開示に努める必要があること。



港資源化施設運営業務委託契約についての監査請求のその後

 異常に高い契約金額9,200万円について不当に高いと思われる分の約4,587万円に対す住民監査請求(損害賠償請求)は棄却されその結果をふまえて東京地裁への提訴を準備している旨は前回のレポートにてお知らせしましたが、今回あらためて住民監査請求を提出しました。
(H11年12月28日提出)
 前回の請求は不当と思われる契約金額の約半額4,587万円の補償(返却)及び未払い分についてはその分を差し引いた支払いを求めたものでしたが今回の請求は契約の違法性、契約内容の不履行などを理由に契約金額の全額返却及び未払い分の金額支払い停止を求める強い内容となっています。
 これは予定される裁判の迅速な審理を促する意味もあります。同時に監査請求に於いて争点を明確にするためでもあります。
 監査請求の結果は期待できないものになると思われますので、したがって3月には地裁に提訴することになる予定です。


「前例への挑戦」より
群馬県太田市長 清水聖義著 学陽書房
 自治体はサービス創造企業とサブタイトルのついたこの本は問題意識を持ち常に区民サービスの原点を見つめ変化を恐れず前進への努力をしているものにとっては実に多くのことを具体的な道しるべとして教えてくれています。
●市長の提唱する市政推進のための4つのアイテム
 (1)職員の意識改革=最小の人員で最大の仕事をこなす行政のプロを目指せ
 (2)市民の目線で考え市民の声の情報収集、市民参加のための相互の情報の提供及び共有化
 (3)マーケッティング思考「コストと効果」思考が政策を生み出す
 (4)人づくり・・・職員としての使命感を持つ人間とマンネリ化の中で行動する人間とでは雲泥の差である
 以下は清水氏が行った行政改革のいくつかです。
● 21階の新庁舎300億円を12階建て150億に
● 食糧費、事務費 旅費の徹底削減
● 助役は置かない...一人あたり年間2千万円、2人で4千万円の節約
● 職員定数の削減
● 入札制度の見直し
● 天下り完全撤廃
● 学校調理職員の年俸制を導入し月割り支給(約1ヵ月分...夏休み冬休み分のカット)
● 市役所内の清掃をすべて職員で行なう(年間3千万円以上節約)

 ほんの一例ですが、これらのことは太田市だけのことではなく港区においてもすべて実現可能なことばかりです。
 区長のやる気、職員のやる気そして議会の協力と、とりもなおさず区民の方々のあとおし、協力があれば出来るのです。
 是非皆さんに読んでいただきたい一冊です。



都費職員の残業代を区費で支給、 さらにカラ残業の疑い

 区内の公立小・中学校には都職員の事務職員と栄養士が配置されています。(H9年度52名)
 これらの職員の残業に際して都費による残業手当予算をオーバーした分、区費によって支給していたというものです。
 公務員には法律によって兼業禁止規定があり違法性があります。
 また残業そのものが行われていたかその実態もかなり疑わしいものがあります。
 ちなみにH6から9年の4年間で総額約2,100万円にもなります。
 この件について同額の補填(返還)を求めて本年1月に区長及び歴代の担当庶務課長(3名)を相手として東京地裁に提訴しました。第1回の公判は3月14日に開かれます。



あとがき

★清水市長にならって庁内清掃を外部委託ではなく職員清掃に切り替えたらどの位節約効果があるか試算してみました。とりあえず本庁舎と4支所の事務室部分のみで年間約2千300万円にもなります。太田市のように会議室、更衣室、トイレ、給湯室他共用部分を含めると約1億1千600万円の効果があります。
 昨年の11月決算委員会でも取り上げ区長に実施を求めたところ区長「いろいろ難しいので...」とのこと。
 最初からやる意志のないところにどんな変化を求めたら良いのでしょうか。
★徳島、吉野川可動堰は投票率50%を越え54.995%となり開票された結果は建設反対90.14%、賛成8.22%と圧倒的反対多数の民意が示されました。
「第十堰住民投票の会」の代表世話人の姫野稚義氏は「市民一人ひとりがプライドを持って行動してくれた。住民が政治や行政から外されている、との思いで結束した。みんなの力の勝利です。」と語っています。
 住民投票告示の前日、中村敦夫氏と共に環境監視団のメンバーの一員として私も吉野川を訪れました。
 公共事業ありきの国土破壊型の事業はもうやめてほしいと心から願います。
中村敦夫氏は次の様に語っています。
「これまで、日本の政治は有権者が登場しない、党派という団体の権力闘争に過ぎなかった。しかし、今回の住民投票は、有権者が直接政治に参加する、日本における真の民主主義の出発点となるに違いない。」と。




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